アクアリウムではコケ取りエースとしてお馴染みのヤマトヌマエビですが、コケ取り職人として認知されたのは割と最近のことです。
もくじ
ヤマトさんの注目されない下積み時代
それまであまり注目されることのなかったヤマトヌマエビですが、ADA創業者の故天野尚氏が水草水槽につくコケを綺麗にしてくれる生体を探していた時に抜群の働きをして目に止まったのがヤマトヌマエビでした。
各地の採集業者にコケ取り候補生体の採集を発注していた天野さんはその抜群のコケ取り能力を評価し、業者に「集められるだけヤマトヌマエビを集めて欲しい、これが認知されると全国からヤマトヌマエビが消えるぞ」的なことを言ったそうですが、業者の方は「こんなの誰も欲しがりませんよ。売れ残って廃棄することになりますよ。正気ですか?天野さん」みたいな感じのやりとりがあったそうです。
素晴らしい先見の明ですね。その後はみなさんご存知の通り、ヤマトヌマエビはコケ取り界のエースとして売れっ子で引く手数多です。
海外ではアマノシュリンプとして呼ばれており、世界中のアクアリストに親しまれる存在になりました。
しかし、自然の水景を水槽内に再現することや水草水槽のCO2添加をシステム化したり、ヤマトヌマエビを発掘したり、と天野さんは世界のアクアリウム界にも多大な貢献、影響を与えてきた本当にすごい方ですね。
元々競輪選手だったり、写真家だったり、起業家だったり(ADAのルーツは20代に立ち上げている)、展示会で見たアロワナの絵や風景画(水彩画?)も上手でしたし、ADAのツール類は機能的でオシャレで美しいし、何か使命を持った天才肌の方だったんでしょうね。
ヤマトヌマエビ飼育時の注意点
ヤマトヌマエビを飼育する際の注意点はなんと言っても『飛び出し』『脱走』です。
リビングに水槽を置いていますが、リビングを歩くヤマトを何度見たことか(笑)水槽台下の埃を身に纏って歩いてる時もありました。デカいヤマトだと5cmくらいあるのでそんなのがモソモソ歩いてると結構びっくりします。
魚につつかれたとか何かに驚いたとかで飛び出すこともありますし、導入初期に水質が合わず逃げ出すこともありますし、夜間暗闇で明かりを求めて飛び出すこともありますし、エアー、ヒーター類のコードを登って外に脱出することもあります。
飛び出しはフタすればある程度防げますけどコード類から登ってくるのは中々防げません。
ヤマトヌマエビの良いところ
コケ取り能力は言わずもがなですが、増えない(増えづらい)というのも良いところだと思います。
熱帯魚飼育(エビなどのシュリンプ系も含め)の醍醐味は繁殖だよ、という方も多いと思います。
ただ、環境が良い(ある程度整っている)とめちゃくちゃ増えて”増えすぎ地獄”になることもあります。
増えすぎるとマジでカオスで色々弊害が出ることもあります。
多少増えるのは良いですが増えすぎると本当に大変です。
その点ヤマトヌマエビは幼生が汽水か海水でしか育たないので普通に飼育している分には増えることはないと思います。
もし、増やしたい方は汽水か海水環境を準備して増やす必要があります。
ヤマトヌマエビを入れる際の注意点
良いことだけ書いてもアレなんで、ヤマトヌマエビを入れる注意点も書いてみたいと思います。
食べないコケもある
個体差はありますが、食べないコケもあります。
水草、石、流木などレイアウト素材などについたコケを取るのが得意でガラス面についたコケは食べません。ガラス面はプロレーザーやスクレーパーで人力で取るか生体ですとオトシンや貝類に任せましょう。
他にも「黒髭コケや藍藻は食べない!」という情報もあれば「いやいや食べるよ!」という情報もあります。
この辺りは個体差や飼育環境によって違うと思いますが、私自身中々ここにあるコケ食べないなーと思ったことはあります。
魚にあげた餌が多すぎてヤマトが残ったそれを食べてしまっているとコケではなく人工飼料の方を食べるようになる可能性もあります。
餌のあげすぎには気をつけましょう。餌の量は適切かお食事タイムもよく観察しましょう。
意外とデカい
これデメリットなの?って感じですが、育つと5cm前後になります。
これがまた水槽内で目立ちます。デカいので居る場所によっては魚より目立ってしまうかもしれません。
後述しますが、デカい個体は小さい個体に比べ水草を食べてしまうこともあります。
魚を襲う
これはヤマトヌマエビに限ったことではなく、エビ(シュリンプ)系全般に言えることですが、水槽内で弱っている魚がいると襲って食べてしまう可能性があります。
もし、弱っている魚がいた場合は治療を兼ねて早めに隔離すれば問題ないと思います。
ただ、うちでは弱ってなくても大人しいインペリアルゼブラプレコの尻尾をミナミヌマエビが齧っていたことがあります。
そういうケースもありますので日々の観察を怠らないようにして下さい。
水草を食べてしまうこともある
食べるコケがなくなると水草の新芽や水草を食べてしまうこともあります。
サイズ大きめのヤマトヌマエビだとこういう害もあります。
購入時のサイズ指定できるのであれば小さめのヤマトヌマエビを入れておくと良いと思います。
サイズが小さくてもコケ取り能力が高いのは変わりません。
フリーダム
自由を愛するヤマトヌマエビなので水槽の外に行きがちです。
フタをするか水位を低めにするなどして対策したいところです。
ヤマトヌマエビの死因のトップは飛び出し☆ではないでしょうか。
水槽からずいぶん離れたところでカピカピになったヤマトが見つかるというのも”アクアリストあるある”かもしれません。
この飛び出しやすいところもヤマトを飼う上で気を付けたいところです。
ヤマト水槽に何匹入れる?目安は?
ヤマトヌマエビ導入の大体の目安ですが、60cm水槽で5〜10匹、30cm水槽で3〜5匹と言われています。
水槽内の状態を考慮して入れる数を増減しても良いと思います。
そして、入れるタイミングですが、一番良いのは水槽立ち上げ後、ある程度水槽内の環境が安定してからが理想です。
コケが出る前に予防的に入れるのがベストですが、コケが出てしまってからでも遅くはありません。良い仕事してくれます。
まとめ
ミナミヌマエビが魚を襲うのを見てミナミよりデカいし一時期は避けていましたが、導入するとやはりコケ取り能力は目を見張るものがありました。
ヤマト導入前流木に付いたコケも導入後数日で綺麗にしてくれました。
見た目も可愛いですし、今ではうちの水槽に欠かせない存在になっています。
ということで高いコケ取り能力で水槽を綺麗に保つにはヤマトヌマエビ(アマノシュリンプ)は必須だと思います。